2020年 03月 25日
世界緑内障週間
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先週のことですが「世界緑内障週間」でした。日本各地で「緑」のライトアップが行われています。京都では「京都タワー」。見事に「緑色」です。
我々眼科医が「緑内障」と診断し「点眼剤」を処方すること。それは患者さんの残り人生に大きく影響を与えることでもあります。「たかが1剤」ではありません。「されど1剤」です。
緑内障疑いとして受診、視野検査少し初期症状あり、さてどうするか。
「とりあえず点眼剤で眼圧下降」
といった感じで、"いきなり" 点眼処方されることが多々あるかと思います。が、個人的には "やや安易" と思っています。
まずは経過観察。なぜなら「眼圧」は日々変動します。季節でも大きく変動します。「点眼剤」開始し眼圧が下がったとて、季節変動で下がった可能性もあります。百歩譲って、いきなり点眼剤処方するにしても、まずは片眼から。これにより「眼圧の左右差」に変化を見ることにより点眼剤の効果を正しく判断出来ます。
「視野検査」の結果は本当に正しいのか。なにせ「難しい」検査です。患者さんが上手く検査できていなかった可能性もあります。それゆえ後日再検査、といっても数ヶ月先で十分です。なにせ緑内障で失明しようと思えば「30年」はかかります。
なお、こういった「経過観察」は日本緑内障学会が作成した「緑内障診療ガイドライン」にもきちんと記載されています。
眼圧の季節変動チェック、視野検査の正確性の確認、などなどをしているうちに軽く半年、いや1年は経過します。その間に患者さんと色々お話しし、緑内障に関する理解を深めてもらいます。もちろん点眼剤に関する理解も。その期間が2年3年になり得ることもあります。
むしろ、それくらいの期間が必要なのです。なにせ「残りの人生」を決めることなので。
医師側にとっても必要な期間なのかもしれません。患者さんの「残りの人生」を左右する決断になるのですから。
まずは "対話" 。点眼の処方はいつでもできます。もう一度言います。緑内障で失明しようと思えば「30年」かかるのです。
我々医師は患者さんにとっての “ミチシルベ” であるであるべしです。そして、その “ミチシルベ” は患者さんのその後の人生を大きく左右することを肝に命じておかなければなりません
そんな "ミチシルベ" であるには、それなりの日々を過ごしそれなりの「ニンゲン」を目指さなければならない、、、海外からの旅行者がすっかり減ってしまった京都で「緑のタワー」を見上げながら、そう思った次第であります。
by o-ieye
| 2020-03-25 11:53