2020年 03月 30日
第1章 誤解その1「黒く欠ける」
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ー緑内障初期症状に関してー

病気には基本自覚症状があります。
「見えにくい」「眼が痒い痛い」「歪んで見える」「蚊が飛んでいる」眼科を受診される患者さんの主な自覚症状です。自覚症状は病院を受診するキッカケになります。逆に言えば、自覚症状がないと病院を受診しないかと思います。
では、本サイトの主役である「緑内障」の自覚症状はどういったものでしょうか。病院を受診したくなるような自覚症状はあるのでしょうか?まずは初期の自覚症状「初期症状」に関して考えてみたいと思います。
「緑内障」の初期症状の一般的なイメージは図1のごとく「中心付近が黒く欠ける」のようです。が、このイメージは「誤解」です。
「見えにくい」「眼が痒い痛い」「歪んで見える」「蚊が飛んでいる」眼科を受診される患者さんの主な自覚症状です。自覚症状は病院を受診するキッカケになります。逆に言えば、自覚症状がないと病院を受診しないかと思います。
では、本サイトの主役である「緑内障」の自覚症状はどういったものでしょうか。病院を受診したくなるような自覚症状はあるのでしょうか?まずは初期の自覚症状「初期症状」に関して考えてみたいと思います。
「緑内障」の初期症状の一般的なイメージは図1のごとく「中心付近が黒く欠ける」のようです。が、このイメージは「誤解」です。

実態に近いのは図2のごとく「周辺がぼんやり見える」です。
どこが「ぼんやり」しているのか、一見わかりづらいかと思われます。図1の黒く欠けて部分をそのまま上に辿ってみて下さい。雲のあたりがやや明るく白く「ぼんやり」した感じになっているかと思います。
つまり一般的なイメージでは「欠け方」「場所」が誤解されています。
「周辺のぼんやり」は非常に分かりにくいかと思います。緑内障の初期症状の特徴はこの「分かりにくさ」にあるのです。つまり緑内障初期は自覚症状が乏しいのです。その結果、病院に行くキッカケを逸し、緑内障の発見が遅れる事態になってしまうのです。
どこが「ぼんやり」しているのか、一見わかりづらいかと思われます。図1の黒く欠けて部分をそのまま上に辿ってみて下さい。雲のあたりがやや明るく白く「ぼんやり」した感じになっているかと思います。
つまり一般的なイメージでは「欠け方」「場所」が誤解されています。
「周辺のぼんやり」は非常に分かりにくいかと思います。緑内障の初期症状の特徴はこの「分かりにくさ」にあるのです。つまり緑内障初期は自覚症状が乏しいのです。その結果、病院に行くキッカケを逸し、緑内障の発見が遅れる事態になってしまうのです。

図1のような「中心付近が黒く欠ける」という誤解がどうして生まれるのか。小生個人的には「視野検査の結果の表記」が誤解の背景にあるのでは、と考えております。
「視野検査」は図3のような機器で行います。機器の半球ドームに正対、中心を注視、その状態でドームの周囲に照らされた光に反応できるか否か、これで「周辺のぼんやり」具合、つまり「緑内障」を判別します。
「視野検査」は図3のような機器で行います。機器の半球ドームに正対、中心を注視、その状態でドームの周囲に照らされた光に反応できるか否か、これで「周辺のぼんやり」具合、つまり「緑内障」を判別します。

初期緑内障の検査結果は図4のように表記されます。
緑内障の障害部位は中心やや上、弓状の「黒い」部分です。中心やや右の黒点は「マリオット盲点」という、生理的に見えない部分で病気ではありません。
この結果を見ると「黒く欠ける」と誤解しても仕方がありません。まさしく「誤解の元凶」とも言えます。しかし、これは障害された部分を「便宜上」黒く表現しているだけであり、本来の見え方を反映したものではありません。
緑内障の障害部位は中心やや上、弓状の「黒い」部分です。中心やや右の黒点は「マリオット盲点」という、生理的に見えない部分で病気ではありません。
この結果を見ると「黒く欠ける」と誤解しても仕方がありません。まさしく「誤解の元凶」とも言えます。しかし、これは障害された部分を「便宜上」黒く表現しているだけであり、本来の見え方を反映したものではありません。

緑内障になると、どういった見え方になるのか、その理解のため視野検査がどういった検査なのかを解説します。
視野検査は「白いドームの壁に当てた白い光を判別できるか」という検査なのです。図5のような丸く白い光の「大きさ」「明るさ」を変化させ、その反応から障害の部位、度合いを判別します。正常であれば光の境界がはっきりしています。しかし、緑内障があると光の境界が分かりづらくなり、正常な判別できなくなります。つまり、ぼんやり見えている、ということになります。コントラストが悪い、といっても良いかもしれません。少なくとも「黒く欠けて」いるわけではないのです。
つまり緑内障本来の見え方は「ぼんやりと見える」と言えます。
視野検査は「白いドームの壁に当てた白い光を判別できるか」という検査なのです。図5のような丸く白い光の「大きさ」「明るさ」を変化させ、その反応から障害の部位、度合いを判別します。正常であれば光の境界がはっきりしています。しかし、緑内障があると光の境界が分かりづらくなり、正常な判別できなくなります。つまり、ぼんやり見えている、ということになります。コントラストが悪い、といっても良いかもしれません。少なくとも「黒く欠けて」いるわけではないのです。
つまり緑内障本来の見え方は「ぼんやりと見える」と言えます。

もう1つの誤解、「欠ける場所」について考えてみます。
図6は前出と同じく視野検査の結果です。障害部位の位置ですが、視野角度10度から20度の間、15度前後になります。
図6は前出と同じく視野検査の結果です。障害部位の位置ですが、視野角度10度から20度の間、15度前後になります。
視野角度15度と言っても、イメージ出来ない思います。というわけで、「距離」で考えてみましょう。「距離」に対してどれだけの「高さ」になるのか。高校時代に学んだ三角関数の世界です。視野角度15度では、図7のごとく「距離4」に対し「高さ1」になります。

具体例で考えてみましょう。テレビを見ているとします。
40インチのテレビ、縦の長さは50cmです。なおテレビ製造業界では1.5m離れて見ることが推奨されています。計算しやすくするために1.6mとします。
緑内障で障害される視野角度15度は1.6mの地点で40cm。上下の視野合わせて80cm。レビの枠外になります
40インチのテレビ、縦の長さは50cmです。なおテレビ製造業界では1.5m離れて見ることが推奨されています。計算しやすくするために1.6mとします。
緑内障で障害される視野角度15度は1.6mの地点で40cm。上下の視野合わせて80cm。レビの枠外になります

京都観光に来ました。玄関口、京都駅前には京都タワーと東本願寺があります。
東本願寺の御影堂門前から京都タワーまで500m。京都タワーが131m。緑内障で障害される高さは500m先で125m。京都タワーの先端に障害部位がややかかるぐらいです。
東本願寺の御影堂門前から京都タワーまで500m。京都タワーが131m。緑内障で障害される高さは500m先で125m。京都タワーの先端に障害部位がややかかるぐらいです。

東本願寺の御影堂門前からの京都タワーを撮影してみました。緑内障においては、この位置からの京都タワーの先端が「ぼんやり」見えていると想像されます。
テレビの例からも、京都タワーの例からも、想像しているよりも外側が障害されていると感じたのではないでしょうか。
テレビの例からも、京都タワーの例からも、想像しているよりも外側が障害されていると感じたのではないでしょうか。

まとめます。緑内障の初期症状の一般的なイメージは「中心付近が黒く欠ける」ですが、これは「誤解」です。実態は図11のごとく「周辺がぼんやりする」であるかと思われます。
「周辺がぼんやりする」という症状は、基本自覚されないと思われます。プラス面は「日常生活に影響がない」ということです。しかし、「眼科を受診するキッカケを逃」し、手遅れになった状態、中期末期で発見される、というマイナス面もあります。
では、中期末期の自覚症状はどのようなものか、それは病気発症後何年ぐらいで出現するのか、次のパートで解説します。
「周辺がぼんやりする」という症状は、基本自覚されないと思われます。プラス面は「日常生活に影響がない」ということです。しかし、「眼科を受診するキッカケを逃」し、手遅れになった状態、中期末期で発見される、というマイナス面もあります。
では、中期末期の自覚症状はどのようなものか、それは病気発症後何年ぐらいで出現するのか、次のパートで解説します。
by o-ieye
| 2020-03-30 16:18
| 緑内障の誤解