2019年 10月 29日

土曜日は休診をいただき、京都で開催された「臨床眼科学会」に参加してまいりました。
学会に参加する意義、それは「現在位置」の確認にあります。小生の治療方針と現学会の方針との間に乖離はないか、その確認のため、というのが最大の意義であると思っています。少なくとも小生が専門と標榜している「緑内障」の分野で乖離があれば非常にまずいことになります。
で、結論としては「緑内障」では大きな差はない、と言い切ります。さらに言えば、この十数年の間に大きな変化は認められないとも言えます。それは停滞とも言えますが安定とも言えます。
もちろん色々な進歩はあります。診断補助のための画像。質がかなり向上しました。でも、それは以前の画質であっても差し支えなかったりします。低侵襲緑内障手術が現在進行形のトピックスのようです。その手術のための立派な機器が次々と開発されています。でも、その術式は十数年前、もっと簡易な機器で行なっていたことと、ほぼ変わりはありません。僕の個人的な見解では、むしろその方が安全なような気がします。
そんな中、考えるべきは「人生100年時代」にどう対応するか、ではないかと思います。それは医療全体に言えることかもしれません。その中でも超慢性疾患である「緑内障」はそんな時代の「モデルケース」になりうる疾患かもしれません。
長期間の治療になります。ただ漫然と点眼剤数を増やしていくだけで良いのか。長期的に点眼を続けるにあたり、あえて点眼数を減らす方が良いのかもしれません。などなど、言い出したらキリがありません。
そして、小生の緑内障に対する「消極的」な方針(出来るだけ点眼剤数を減らす、出来るだけ無治療で経過観察する、など)も正解の一つだと再認識した次第です。
午後は「眼形成」(眼瞼下垂等)のセッションへ。専門外かつ現状手術をしてないので、あまり意味がないと思われるかもしれません。
しかし、このジャンルは今非常に「熱い」のです。比較的経験則に頼っていたジャンルなのですが、それをキチンとした理論に変えていこうとする、そういった熱い流れがあるのです。キチンと理論形成出来れば、日本中どの病院でも、安定した手術を提供できます。経験則ではそうはいきません。
かつ「まぶた」は過小評価されがちです。ドライアイやらアレルギーやら、眼表面疾患に「まぶた」が関与していることは多々あります。さらには高齢化社会。「まぶた」絡みの疾患はこれから増えていくことが予想出来ます。
そんなジャンルの熱い議論を聞いていると、こちらも身が引き締まります。なお、同じ大学の同期のドクター(かつ昔のバンド仲間)が、この世界の中心で頑張っております。今回も立派な発表をされていました。そんな彼の姿を見たかった、というのが本音でもあります。
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by o-ieye
| 2019-10-29 18:00