ここから本題です
「視力検査」が “5m” と決まっている以上、視力関係の基準は全て “5m” になっています。検査機器も、眼鏡の処方にしても、全ては “5m” が基準です。
改めて考えてみます。 “5m” とはどれくらいの距離なのでしょうか。
普通乗用車の大きさがほぼ “5m” です。と考えると、それほど遠くとは思えません。が、これは「屋外」での話です。
家の中で考えましょう。まずは、六畳一間といっても様々な広さがあります。一番広い「京間」で 382cm×286.5cm。



「5mがスタート」と定義された「正視」は、常時「毛様体」に負担をかけた状態で生活する必要があります(対角線なら大丈夫かも)。「遠視」は「正視」よりもさらに負担がかかります。「近視」は「メガネなし」の方が快適かもしれません。
また、テレビの推奨距離は画面の高さの3倍と言われています。すると、50型で2m、80型でようやく3mになります。 “5m” 先が見えなくてもテレビは楽しめます。
となると屋内においては、 “スタート” 位置は “3m” で十分 ということになるのでは。その分、パソコン、スマホ、本、といった「近見作業」は楽になります。
ただ、同じ「屋内」であっても「学校」に関しては少し事情が違います。
教室の大きさは 7m×9m が標準と決まっているそうです。黒板まで一番後ろ、かつ端の席だと、10m近くの距離があります。すると、強い眼鏡が必要になるのでしょうか。
そこで考えて欲しいのが黒板に書ける字の大きさです。それほど細かい字は書けません。
ここで、再び “ランドルト環” 登場です。切れ目の幅でなく、”環” そのものの直径を考えてみます。
“0.4” で直径が18.75mm になります。1円玉よりも小さいのです。
なお、”0.2” は37.5mm、 “0.1” は75mm です。
おそらく「黒板」に書ける字は “5cm” ぐらいが限界かと思われます。となると、5mでの視力が ”0.2” ぐらいあれば、実は十分なのかもしれません。
計算上、10m 先の “0.2” は 5m 先の “0.4” になります。つまり、5mで “0.4”が見えているなら、10m先の “0.2” 相当の字が見えることになります。
なお、全生徒に「タブレット」等が配られ、各生徒の机上に黒板の字が投影されたとすればば、”5m” の視力を考える必要はなくなります。
参考までに「近視の度数」と“スタート” 位置と 「5m視力」の関係を列挙しておきます。あくまでも「独自」の計算によります。
「近視の度数」±0 “スタート” 位置 5m 「5m視力」1.0
「近視の度数」-0.25 “スタート” 位置 4m 「5m視力」 0.8
「近視の度数」-0.33 “スタート” 位置 3m 「5m視力」 0.6
「近視の度数」-0.50 “スタート” 位置 2m 「5m視力」 0.4
「近視の度数」-1.00 “スタート” 位置 1m 「5m視力」 0.2
「近視の度数」-2.00 “スタート” 位置 50cm 「5m視力」 0.1